とある休みの日、どこへ出掛けるでもなくいつものように瑞穂を呼んで二人でまったり過ごす有明は珍しく、携帯電話のカタログを広げていた。


「携帯変えるんですか?
 まだ結構新しいですよね」

「いや、もう一個持とうかなと思って」

「何に使うんですか?」

「実は加津佐から聞いた話なんだけど・・・あ、瑞穂さんこういうの好き?」


話の途中でいい携帯を見つけたらしく、カタログを指差して瑞穂に見せる。


「かわいいですけど・・・どっちかっていうとこのデザイン女性向けじゃないですか?
 機能がいいとか?」

「ううん、瑞穂さんに持ってもらおうかと」

「はっ?!」


今度はパラパラとページを捲って料金プランの書かれた場所を指さした。


「ほら、俺がもう一個持てば基本料だけで、通話は家族割引扱いになるからどれだけ電話しても掛からないんだって。
だからもう一個二人の通話用に持っていれば安いと思わない?」

「・・・・・・」


楽しそうに説明する有明だったが返事のない瑞穂を不思議に思い顔を覗き込むと、なぜか半笑いで固まっていた。


「瑞穂さん・・・?」



有明に呼ばれハッと気づいた瑞穂はゴホンとひとつ咳払いをして口を開く。


「いや・・・うん・・・それはいいアイディアだと思うんですけど・・・




 私達って基本、そんなに電話もメールもしなくないですか?」




「あ。」