遠回りだが必死で教室へと走っていると、廊下で口之津とすれ違い呼び止められる。


「おー、晴!どうしたんだそんなに走っ・・・」

「なんでもないです!!」


瑞穂は足も止めずにまっすぐ走り去った。


――関係ない口之津まで巻き込んではいけない・・・





「・・・・・・はぁっ・・・はぁっ・・・!!」

「・・・・・・?どうしたの晴子」


明らかに様子のおかしい瑞穂に有馬達だけでなくクラスの数人が不思議そうに瑞穂を見た。


「あっ・・・なんでもない!なんでもないよ!!」

「ふーん・・・?」



口之津と本当に付き合っているのは有馬なのに、自分のせいで口之津まで悪く言われていることが辛い。

それだけじゃない。

ここまで心配してくれているのに、本当のことを隠していることも後ろめたい。



(有明先生に対する気持ち・・・一番応援して背中を押してくれたのは有馬さんなのになあ・・・・・・)





――小浜先生が言うように、私はそんな有馬さんに対してまで優越感を抱いていたのだろうか・・・


本当に私は、



なんて、




嫌な子なんだろう――――