ある日、とうとう間接的な噂話だけでなく、段々直接的な害が及ぶことになる――




「キミだよねぇ?今噂になってる子」


(誰・・・・・・?)


瑞穂は廊下で有馬のように派手な格好をした三年生と思われる女子数人に囲まれた。


「何か超~噂になってるよぉ。有明先生と付き合ってるって」

「・・・そんなのただの噂です」

「だよねぇ~~。教師オトしたっていうからどれだけ美人かと思ったらぁ~」

「・・・・・・」


クスクスと笑われ、瑞穂は恥ずかしくなって顔を伏せる。


(小浜先生と・・・同じこと言ってる・・・)


――いや、本当は皆思っているだろう。


『なんであんな子が?』


(人間顔じゃないんだよ・・・なんて言うのは私じゃなくて私を選んだ有明先生のセリフか)


心の中で自分を薄ら笑う。



「口之津先生とも関係持ってるって話じゃん。教師キラーってやつぅ?」

「ギャハハハハ!」


「・・・・・・っ」


自分だけじゃなく、まるで有明や口之津のことまで馬鹿にされた気がして瑞穂は上級生を睨みつけた。



「何その目・・・馬鹿にしてんの?」


下品に馬鹿笑いしていた上級生はピタリと笑うのをやめ一斉に瑞穂を威嚇する。


「・・・・・・!」


これ以上ここにいてはヤバイ――。


瑞穂は急いで来た道を走って逃げた。


何か叫んでいたようだが追ってくる様子はない。