「・・・――で223ページまでを・・・」


ガララッ



教師の声だけが響く静かな教室をなるべく音を立てないように後ろの方からそーっと開けると、やはりそれでも音が響いてしまうらしくクラスの注目を浴びた。


(うわっ・・・相当恥ずかしい)


口之津と別れ教室に戻ってきたはいいが、途中から入るくらいならサボった方がよかった・・・と頭を抱える。



「遅かったですね。どうしたんですか?」


(うわぁ・・・有明先生の授業だったよ~)


後ろから入ってもそのまま席につくことは許されず、笑顔で手招きをされすごすごと教卓へ歩く。


「すみません・・・図書室で本を散乱させちゃって・・・
今まで片付けてました」

「そうでしたか。次からは遅れないようにね」


ノートで優しくポコンと頭を叩かれ、自分の席へ戻る。


ジロジロ見る他の生徒の目線が痛い。


通りすがりに有馬が「何かあったのー?」と小さな声で聞いてきたが、それに気づいた有明が
「それじゃあ次のところをおしゃべりしている有馬さん読んでください」
とすかさず指摘した。

「ゲッ」と言いながら教科書を持って立ち上がる有馬の横をすり抜け自分の席に着く。

教科書を出して黒板の方を見ると、心配そうな顔をした有明と目が合った。