「・・・・・・」
「・・・・・・」


沈黙が続く。

エレベーターは二人を残し扉を閉じ、二人は暗闇に残された。


「あの・・・なんです、か・・・?」

「あ・・・」


ええっと、と言うと有明は言いづらそうに身をゆがめた。


「よかったら・・・」

「え?」

「・・・・・・携帯、教えて」


小さな声で言うその姿に少しだけキュンとしてしまう。


慌ててポケットから携帯を取り出すとそれを見て有明も自分の携帯を取り出した。


「赤外線でいいですか?」

聞くと「ん」とだけ短く答えて携帯を差し出す。


いつもはあっという間の赤外線の送信時間でさえ長く感じるほど今の時間はもどかしかった。