「先日も言いましたが僕には・・・」

「・・・! わ、わかってます!
お付き合いされている方がいるのはわかってますけど・・・
お食事だけでも・・・ダメでしょうか?」


小浜が必死な顔をして頼むからなんだか断りづらくて顔を背ける。


――大体どうしてそこまで自分にこだわるのだろう。


有明は小さくため息をついた。


「ごめんなさい。自分が逆の立場だったら異性と二人で食事というのはやはりいい気はしませんから・・・」

「・・・・・・」


小浜は黙ってうつむいた。




「お疲れ様でーす!有明先生、小浜先生。
一緒に終わられたんですか?」


職員室付近で口之津に会う。

有明は内心、これで話がそれたことにホッとした。


「はい、そこで偶然会いました」

「ふーん・・・」


口之津は有明と小浜の顔を交互に見る。



「実際のところ二人ってどうなってんスか?」

「え?」



――ああ、またそういう話を・・・。


他人のことなんか気にしなくてもいいだろうに。





「どうって、何もありませんよ」

こういう時小浜は決まって黙り込む。
否定も肯定もしない。

それが逆に肯定しているように見えるから、有明としてははっきり言ってほしいのだが・・・。



「いやね、噂を聞きまして。
有明先生にお付き合いしてる人がいるって。
話によれば小浜先生じゃないらしいんスけど、小浜先生とも付き合ってるっていう噂まであることだし・・・

実際は内緒で付き合ってんじゃないスか?」


聞かずとも深江→有馬経由で聞いたことはすぐにわかったが、それよりもカマをかけるような言い方が癇に障る。