午後の授業も終わり、有明は教室から職員室へ戻る途中に後方から声を掛けられた。


「有明先生」

「小浜先生。お疲れ様です」


有明が挨拶をすると小浜が駆け寄り並んで歩く。

有馬や深江を含め有明を好きな他の生徒からは小浜はすでに嫌われていた。
それ程に小浜の有明に対する態度はわかりやすい。

中にはすでに二人はデキてるのではないかという噂もあるが、先日の『彼女できました』発言もあり、二つの噂が飛び交っていた。

どちらにせよ、その真意を確かめたくてたびたび有明の元には女子生徒が「彼女ができたって本当ですか?!」とか「小浜先生と付き合ってるんですか?!」といった質問を浴びせられた。




「この間のレポート、ありがとうございました。無事提出できました。いい評ももらえそうです」

「そうですか。それはよかった。僕も少し懐かしい気持ちになりました」


有明が笑えば小浜はそれを頬を染めて見つめた。


「あの・・・それで、有明先生」

「はい?」

「そ、その・・・」


小浜は頬を染めたままモジモジと体を動かす。

小浜自身が有明に気があるせいか、そういう行動はハタから見れば余計に「二人は付き合っているのではないか」と思わせた。

実際、清楚系美男美女でよくお似合いだ。


「どうしました?」


「あ、あの・・・よろしかったらお礼に・・・今度ご飯でもご一緒しませんか?」


「!」



有明は表情を曇らせる。