教室に戻ると有馬と深江と布津が話をしていた。

瑞穂が来たことを確認すると深江が言った。


「私、ちゃんと断ろうと思うんだ」


有馬が「うんうん」と頷く。

布津は無反応だ。


「それで布津君にお願いがあるんだけど」

「俺?」

「そ。よかったら先輩呼び出してくれないかな。
部活の後に待ってるって言ってくれるだけでいいんだけど」

「お、俺ぇえええ?!」


布津はブンブンと手を振って嫌がる。


「ヤだよ!!ただでさえ俺とお前はバスケ部でも関係疑われてんのに、俺スゲー嫌な人間じゃん!!」

「あ、そっか」

「じゃーウチが一緒に行ってあげよっか」

「おい有馬、喧嘩しに行くんじゃねーんだぞ」

「わかってるわ!!どういう意味だソレ!!」


「部活の休み時間に声かけられたんだったら、向こうも意識してるだろうし見てれば気付いてくれるんじゃないの?」


瑞穂の言葉に「そっか」と深江は納得した。




「晴ちゃん・・・晴ちゃんもやっぱりついて来てくれないよね・・・?」

「うっ・・・さすがにね・・・。
相手がかわいそうじゃん」

「だよね・・・」


深江の不安そうな顔を見て少し前の自分が重なる。


振られるのも落ち込むが、振る方もキツイものがある。

たとえそれがあまり知らない人でもだ。



瑞穂はただ深江がうまくいくことを祈るしかない。