「瑞穂さんこんにちは」

「小浜先生。
こんにちは、今から授業ですか?」

「うん、3年生の教室であるの。
後ろに座ってるだけだからお昼は眠くなっちゃう」

「あはは、先生がそんなこと言っちゃダメですよ。
でも実習生って何かノート取ったりしてるじゃないですか」

「そうなのよね。
実習の最後には授業やらなきゃいけないの。
眠くなってる場合じゃないんだけど」



あれ以来、瑞穂と小浜は少し話すようになった。

意外と話しやすい小浜に瑞穂は少しだけ心を開く。


小浜には今まで身構えていた瑞穂だったがその理由がようやくわかった。

有明と似ているのだ。

優しく笑うが何を考えているかわからない、初めのころの有明。

きっとこうやって有明の方がから瑞穂に踏み込むことがなかったら今も変わらず身構えていただろう。

有明との秘密の関係があるからこそ小浜と普通に接することができるのかもしれない。





「最近小浜と仲いいな」


小浜と別れた後、瑞穂達の教室の前の廊下にしゃがみこむ口之津がそう言った。


「口之津先生・・・また有馬さんストーキングしてる」

「ストーキング言うな。
それより小浜といつ仲良くなった?」

「私にまでヤキモチですか?カンベンしてくださいよ」

「ふざけんなテメー」


口之津が腕を伸ばすが瑞穂はそれをサッとかわす。


「あの女、俺は嫌いだね。
うさんくさい。いけすかねぇ」

「ボロクソじゃないですか。
口之津先生は女性に夢見すぎなんですよー」

「違ぇよ!そうじゃねえ」

「現実、純真無垢な女性ってそうそういませんよ」