その瞬間教室には、 ゴツッと鈍い音、 女子の甲高い悲鳴が響いた。 唇が切れた。痛い。 「お前、転校生でちょっと 美人だからって 調子乗ってんじゃねぇぞ?」 チャラ男が鬼の様な形相で 私を睨みつけた。 私もさすがに腹が立って 「おめぇこそ、女に 手ぇあげんのかよ。 情けねぇな。 とっとと、失せろ。」 そう言うとチャラ男は 椅子を蹴って教室を出た。 みんな何もしゃべらず、 しばらく沈黙が続いた。 その沈黙を破るかのように、 「唇、拭きなよ。」 ハンカチを差し出してくれる 女の子が居た。