「楓!どうしてくれるんだよ!?取り返しつかねぇぞ!」

凄い剣幕で怒鳴る直輝。
そんな、直輝を余所目に楓は部屋の端っこにあった冷蔵庫をあさって、アイスを2個取り出した。

「まぁまぁ、言っちゃったことだし・・・・いいんじゃない?人生はスリルが大事!」

アイスを口に銜え、「はい」と私にもう1個のアイスを手渡した。

「ありがとう・・・・」

暢気だなぁ・・・・。と思いつつ、もらったアイスをパクッと一口食べた。

「ちょっとぉ、ここに何しに来たのよぉっ。喧嘩?」

怒り口調の園子さん・・・・って、
忘れてた!

ここは、校長室。
困ったことがあったら、まず、校長室ってことで・・・・。

「しかも!それ!私のアイスよ!!勝手に食べないで!」

「食べちゃった☆ ごめんね?」

怒鳴る園子さんと裏腹に、キャピッと首を傾げて、顔の前で手を合わせ、謝る楓にキュンとしてしまう。
それも、園子さんも同様。
一気に険しい顔が崩れ、とろけんばかりの笑顔で

「可愛いから、許すわ♡」

で、解決。

でも、大問題がまだ残ってる。

「校長!そんなこと、どうでもいいんだよ!!設定がパーになっちゃったんだぜ!?」

バンッと、園子さんの机を軽く叩くと、園子さんは「はぁ、固いわねぇ」と、軽くため息をこぼしてクルクル回るフカフカの椅子を回し、直輝に向かい合った。

「いいじゃない?“仮”でしょ?仮なら、彼氏じゃないのよ。これで、多分、学園中の噂でしょうし、花恋に虫がつくこともなくなったじゃない!一石二鳥よ!!」

・・・虫?
虫は、嫌いだけど・・・・・・はらえばいいんじゃない?