君がいたから






私は鈴原千秋。





お母さんに突然、意味も分からなく妹の葉月と一緒に施設に入れられた。





私は正直、施設に入る事なんてどうでもよかった。





ただ、どうしてお母さんは何も言ってくれなかったんだろうという思いで頭はいっぱいいっぱいで。





幼い葉月は状況が呑み込めなかった。





後で分かった時は私に抱きついて思いっきり泣いてた。





葉月はお母さんが大好きだった。





私も嫌いと言えば嘘になる。





気づけば葉月は泣き疲れて私の腕の中で眠っていた。





長い睫毛が自慢の目も泣きすぎて真っ赤に腫れていた。





私が、





私が葉月を守るんだ。





そう心に誓った。





それから私は上の空で何をしたのか全く覚えてない。





「お姉ちゃん、お空見に行こう?」





『……そうだね』





ついさっき、夜は外に出るなと施設の先生に言われていたが内緒で葉月と今朝見た大きなベンチに向かった。





多分あそこなら眺めもいいだろう。





ベンチに座ると案の定、手を伸ばすと届きそうな星たちが目にとびこんできた。





「お姉ちゃん、綺麗だね」





『……うん』





今は葉月の声だけが一番安心する。





思わず笑みがこぼれた。





「鈴原も空とか見んのか?」





『!』