「詩乃、おはよー!
おっ、旦那と登校ですか!
ラブラブだねぇ!」
教室に入ると親友の麻ちゃんがからかってくる。
旦那って…。
「京真、おはよー。
ちょっとこれ見ろよ」
「あぁ、待って。
じゃ、後でね詩乃。
お昼一緒に食べよう」
優しく微笑み友達のところに行った京真くん。
京真くんは人気なんだ。
優しくて、カッコいい。
頭もいいしスポーツも完璧なんだ。
まさに王子様だよね。
そんな京真くんが私に好きって言ってくれたんだ。
夢みたいだったな。
「京真、いるぅ?」
教室の入り口で甘えた声がした。
そこにいたのは美由ちゃん。
「あ、いたぁ!
探したんだよぉ。
今日も遅かったねぇ」
美由ちゃんは京真くんの腕に自分の腕を絡ませる。
いつもの光景。
でも今日は少し違う。
京真くんが美由ちゃんの腕をゆっくりと離した。
「ごめん、美由。
もうそれ止めてくれる?」
京真くんが美由ちゃんを拒んだ?
今までなにも言わなかったのに。