「南野さん。」



「古坂君遅れちゃってごめん。」






「いいんだ。」





俺は今から彼女に全てを打ち明ける。
その為に
屋上に呼び出した。



南野さんには真実を
知ってほしいんだ。





―――5年前



「ただいまー!」


中学から帰ってきた俺は
いつもの用に玄関の扉を
思いっ切り開けた。



「…………あれ?」


「おかえり〜」



母親の元気な声が
台所の方から聞こえて来る。




………はずだった。



なのに……




「お母さん?お姉ちゃん?」






どこにもいない。
お母さんもお姉ちゃんも。