わぁ……凄いわ!
初めて見るものばかりの市場に私は目を輝かせた。
陽気な音楽に、素敵なローブ。
文具店には、宙に文字が書ける羽ペン。
喫茶店ではキャラメル味の不思議な飲み物。
フワフワした感じの飲み物は文字では表せないような物だった。
「もう最高よ!」
見るもの全てに目を奪われる私とは裏腹にシャルディは常に私を見ていた。
――護衛、それがシャルディの仕事だから。
「レディ、そろそろ」
「あら、そうね」
私達はあくまで、おば様の買い出しのついでなのだ。
「おば様の知り合いなんでしょう?」
地図を確認しながら歩く。
「どんな所なの?」
「……あまり良い所ではない」
「何故?」
シャルディはそれ以上は答えてくれなかった。
無視するなんて酷い!

