「市場、ですか?そんなの危険すぎます!
エルザ様、それは貴女が一番解っている筈では?」
何ですって!?
「シルバー、落ち着けと言ってるだろうに。
お前がいるだろうが。お前が守るのだよ!
アイツらは既にレディの存在に気がついている」
私の、私の存在がなんだって言うの?
「此方だってそう易々と渡すわけがあるか」
私は静かに扉から離れた。
ゆっくりと二階に上がり、ベッドに倒れ込んだ。
私、本当は、ここにいてはいけないのではないの?
この九年間とても楽しかった。
たくさんの幸せをくれた。
でも……
でも――……
私は本当の家族ではないから――――……
ここを出ていかなくてはいけない日がくるのよね?
気がつくと私の頬には涙が伝っていた。
そうして私は眠りに落ちた。

