ガタッ
と、黒い一匹の黒猫が物音を立て、降り立った。
その黒猫が向かう先は主人の元。
「寝てました」
「そうか」
「全く、あんな小娘が……」
「シャルディ」
別に怒っている訳ではないが、冷静でかつ、何か周りを制してしまうようなそんな声で呼ばれ、
それ以上何も言えなかった。
シャルディと呼ばれた黒猫は若干腑に落ちない、という顔をしたが、
主人の手前、ムスッとしてるわけにもいかず、すぐ表情を戻した。
「わかっているな?」
「勿論ですとも。エルザ様」
エルザ様、そう呼ばれた女の人は
金髪に、くすんだ赤い瞳をしていた。
「月が欠けるな」
「奴らは動くんですか?」
「ああ。芽は早いうちに摘み取るつもりなんだろう」
「そう、ですか……」
少し悲しい顔をするシャルディにエルザはニッと笑った。

