先生の隣


パシッ

私は圭介の手を払っていた。

「潤?」

「…触らないで」

圭介は眉を下げて私の顔を覗き込む。

「ごめん…俺が触ったとこ痛かった?」

違う…そうじゃない…

さっきあいつが触った頭を圭介に触られたくなかった。

あれ…?

私の感情、おかしくない?

圭介が私を触ったら先生が私の頭を触ったことがなくなってしまいそうで…

怖くて…

「潤?ごめんな?」

ハッと気付いても遅い。

私の視界いっぱいに広がるのは目をつぶった圭介の顔。

途端に唇の感触を失う。

「潤、悲しい顔してたから…」

圭介…ごめん。