「陽向?」
私が先生のことを考えているとふと視界が暗くなった
気付けば目の前に聡太君が立っていた
「あれ、もう終わったの?」
「え…。あぁ、終わった。1位になったよ。」
「ごめん、ボーっとしてた。」
「気分でも悪くなった?」
「そんなんじゃないから大丈夫。それよりおめでとう!!お疲れ様♪」
「ありがとう、今日はもう帰ろう。送ってくよ。」
「え?試合の後もなにか用事があるって…」
「あぁ、今日はやめとく。」
「私は大丈夫だよ?」
「俺が疲れた。」
「そっか、じゃあ帰ろっか。」
そう言って聡太君は服を着替えに部室へ向かった
なんか、聡太君はいつもと違う気がした
「あ~ぁ。陽向ちゃんダメだよ聡太にあんな顔させちゃ!!」
「あれ?宮内さん帰ったんじゃないんですか?」
後ろから宮内さんがこちらに向かってきていた
「校舎から見てたんだけど、なんか様子おかしいなぁと思って来たわけ♪」
「あの、あんな顔させちゃってどういう意味ですか?」
「聡太は人一倍寂しさに敏感なんだよ?強がっててわかりづらいけどね(笑)」
「え?」
「陽向ちゃんほんとに聡太だけを見てる?」
「それは…。」
「これは2人の問題だから後は言わないけど、聡太のことも考えてね?」
「宮内さんってほんとに聡太君のこと好きなんですね…。」
宮内さんの聡太君を心配している気持ちがひしひしと伝わってきた
聡太君はお父さんがいないから、寂しさを見せない癖が気付かないうちにつてたんだ…
父親の愛情が感じられない寂しさは私が一番わかってあげられるはずなのに
「言っとくけど、好きじゃなくて感謝だからね?」
「そうですか。」
「ごめんなさい、聡太君傷つけてしまって。」
「俺に謝らないで?」
そう言って宮内さんは聡太君がこっちに来るのを見て「今日俺が言った事は聞いてないことにしてね!!」と言って校舎に戻って行った


