~和樹~




ある日いきなり夏川の友達に声をかけられた



「こんにちは、私陽向の友達の新島です。」


「はぁ…。」


「今度の土曜日学校に居てください!!」


「は?」


「絶対ですよ。チャンス逃さないでくださいね!!」


そう言った新島という少女はなぜかとても威圧感がありそうせざる負えないような気さえしてきた



言われた通り準備室で待っているとノックの音が聞こえた



「河野先生いますか?」


その声はこの前の少女の声だった


返事をしてドアを開けるとそこには私服の少女と夏川がいた



普段と違う夏川を見てビックリした


それと同時にずっと会っていなかったのに今はこんなにも近くに居て頭が真っ白になった



2人は忘れ物を探すと言って部屋に入ると部屋中を歩き回っていた


だけど夏川は何か言われたのか静かに俺の横に来ると少し距離をとって立った



しかしずっと黙ったままで少し気まずかった



思い切って話しかけてみると返事が返ってきた



久々に聞く夏川の声が今までのことを心の中によみがえらせた




とても懐かしくて、あの優しい笑顔に癒されていた



そう思ってふと夏川を見ると、泣いていた


必死にこらえながらも涙があふれていた



すると夏川の友達が「ここに何をしにきたのか分かっているのか」と言ってっきた



話を聞くと他の先生が少なくなる時間帯を狙って夏川を連れてきたようだった


そして夏川は何かを決めたような顔をして待つと言ってくれた



それから夏川の友達がプレゼントだと言って鞄からペアのストラップをだした



しかも他の先生にばれないようにと対策済みだそうだ



夏川はすごく嬉しそうにしていた


俺もまさかこの歳になってこんなストラップをもつとは思わなかったけど素直に嬉しかった




2人が帰った後、さっそく携帯にそのストラップをつけた



きっとこのストラップを見るたびに俺は幸せな気持ちになれるだろう


現に今も胸の鼓動が鳴りやまない




あと少し、もう少しで夏川が卒業式を迎える





それまでの辛抱なんだ







待ち遠しくて仕方がないよ…








~和樹・終~