ついに梓にも蓮という彼氏が出来た。
そう、私は椎名・様乃。

梓が蓮と付き合ってからもう一ヶ月、月日は早い。
そんな私もちょっと恋がしたいお年頃。

要するに、私は暇なんすよ。


『梓に彼氏が出来たら、私も彼氏が出来ますように』


あんなんで出来たら世話ねぇよ。


 小指心(番外編)
  星に願いを


「はー・・・」

私はネクタイを少し緩めてカバンを持った。

「梓帰ろー」

「あー、ゴメンっ!」

でた、蓮。

「また?」

「ゴメン・・・今日はちょっと大切な日でして・・・」

「つーか毎日がお前にとっては大切な日だろう」

「まーまー、今日は蓮の誕生日なんだよー(汗)」

梓はこの頃、いつも蓮のことを『蓮くん』と呼ぶのに最近タメになった。
恋人パワーはこんなもんなのだろうか・・・

え、もしかして蓮も『梓』って呼んでんのか!?

そ、想像つかねぇ〜・・・(汗)

「んー、良いや。そのかわり明日たこ焼きおごって」

「ええぇっ?!?!なんでぇっ!?!」

「えーじゃねぇよ、それぐらい当然でしょ」

「こ、今月ピンチっつーのに・・・(泣)」

「なんか言った?」

「い、いえ別にっ!!(死)」

・・・私も一度は友達をほっぽらかしに出来るほどの彼氏が一人でも欲しいよ。
まぁ、無理なのかもしれないけど。

「じゃ、帰るか」

「様乃ホントごめんね!!」

「いい、いつもの事だし」

私はクラスを出た。
ちぇ、今日は我慢してたこ焼きは止めとくか。

カバンからウォークマンを出して、スイッチを押した。

『どれにしようかな』

よし、Robinに決定。
私は大音量でゆっくり歩き始めた。