しばらくすると一馬は私のところまで来てカバンを持って来た。

「一馬、着替えなくて良いの?」

「んー、めんどくさいし・・・それより早く梓と帰りたいから良いや」

「んじゃ、帰りますか」

こんな日々が私は大好き、みじかに一馬がいるとシアワセ。
いつか倒れるぞ私。

「梓、手」

「あっ」

私は一馬に手をひかれた、部活の後だからなのか手が暖かい。
でも汗一つかいていないのには毎回ビックリする。



私は滝河学校に通っている中学3年生の信条・梓(しんじょう・あずさ)。
多分、みんなは私みたいな子を『青春真っただなかの15歳』でも呼ぶだろう。

隣にいるカレは内藤・一馬(ないとう・かずま)。
私より一つ年上、多分私が出会ったなかで一番イケメン+思いやりのある人だと思う。
てか『絶対に』そう。



まぁ、(一応教えといた方が言いと思う)私たちのキッカケ。

―――――――――――

私がまだ14歳だったころ、友達と居残りで宿題をしていた時だったかな。

「ダメだ・・・この数式、全く意味が分からないんですけど」

「だからっ!!ココは四捨五入してこの答えとかけるんだってば」

「だいたい四捨五入ってなにさっ・・・もーヤダよぉー!」

「梓・・・アンタそれでも大手企業の娘なわけ・・・?」

「もしかして私、どっかの橋の下に置いて行かれた養女だったんじゃないかなあぁ?」

「はっ?意味不明・・・早く終わらせて帰るよっ!私だって色々忙しいんだから!!」

ガラッ

―――そしてそこに一馬は現れた。

「お、信条と椎名じゃん」

「内藤くん!!良いところに来たっ!!天才ならこの問題解けるよね!?」