僕はいつも闇を探して歩く

別に暗いところが好きなわけじゃない。
闇を探しながら歩く姿は、とても滑稽に映るのだろう。しかし、ここはビルの影がたくさんあるから歩きやすいし、誰の目にも異常には映らない。

パーカーのフードを目深にかぶる。見えるのは冷たいコンクリートの地面と薄暗い世界。


光などはもう求められるわけもなく、僕が見る空はいつも漆黒に輝く星を散りばめ、優しく世界を包んでいる。けれど僕には、その優しさが感じられなくなくなってしまった。
感じるのは孤独と寂しさ、そして切なさばかり。
ただ悲しかった。







最初それが何の気持なのかはわからなかった。心臓が締め付けられたようで苦しかった。
彼女を見る度に締め付けが痛い。僕はそれが恋だと気付いた。
初めて人を好きになった。


彼女は僕とは違う、普通の生活をしていた。寧ろ僕と同じ体なんていないだろう。
僕はどうすればいいかわからなかった。
光が怖いのに、彼女に会いたかった。



いつも同じ時間、いつも同じ場所、ほぼ毎日彼女はそこの道を通った。
理由は知らないが、欠かすことはあまりなかった。