もう止められなかった。 「あたし、一ノ瀬君が好き」 その時、風がふわっと吹いてきてあたし達は甘い香りに包まれた。 「………。」 言っちゃった……。 あたし… 一ノ瀬君に好きって……。 一ノ瀬君は何も言わずにあたしを見つめた。 そして綺麗なブラウンの瞳が揺れたかと思うと、ゆっくり目線を横に逸らした。 ……何も言ってくれないの? “ありがとう” でも “ごめん” でもいいよ… 何か言って……?