高校生になって初めての夏休み。


教室では、日に焼けたクラスメート達が楽しそうに夏休みの思い出を語り合っている。



「ねぇ、マコ?」


席で雑誌を読んでいると、親友の紗都がうちわでパタパタと扇ぎながら話しかけてきた。



「ん~?」



雑誌に目を向けたまま返事をすると紗都はガバッと雑誌を取り上げた。



「ちょ、紗都ぉ…」


「転校生かなぁ?」


「は?」


「そこ。マコの席の隣」



うちわであたしの隣の机を指し示した。


あたしの席は窓際の一番後で、あたしだけが半端に一人飛び出していたから隣には誰もいないはずなのに机が置かれていた。



「あ。そういえば机があるね」


特に何も気にしないで席に着いたから今気付いたよ。



「イケメンかなぁ?」



紗都は目を輝かせながら机を見つめた。


イケメンかなぁって…

男前提?



「超美人な女の子かもよ?」



意地悪そうにあたしが言うと、紗都はわざとらしく嫌そうな顔をした。