どれくらい時間が経っただろう


一ノ瀬君はそっとあたしを離すと悲しそうに笑った。
そして、




「ごめん」



…と言った。




前に紗都が言ってた、



“真琴の事が特別なんだよ”



抱きしめられた瞬間
あたしもそう思った。



あたしは一ノ瀬君の“特別”になれたのかもって。




でも…


その後のあの悲しい瞳で違うって感じた。



あたしを見ているようで見ていない瞳。



あたしはこの日夜
なかなか寝付けなかった。