「行くか」 「…うん」 一ノ瀬君は再びあたしの手を取り歩き始めた。 学校裏は木が深く茂っていて、森の中の細い道を歩いているようだった。 涼しい… 前を歩く一ノ瀬君の栗色の髪が木洩れ日でキラキラする。 そして風にのってくる彼の甘い香り… やっぱり懐かしく、何故かホッとするんだ。 「もうすぐだよ」 一ノ瀬君が前を向いたまま言う。 そしてこの道を抜けて広い場所に出た瞬間あたしは息を呑んだ。