外へ出た瞬間ジリッとする太陽に汗が一気に吹き出るようだった。
「暑っ…」
涼しい場所から出た時のもわ~んとする
この何とも言えない感覚。
この不愉快さに悶えていると…
「はい」
一ノ瀬君はスラッとした長い手を差し出してきた。
えっと…
手を繋げ。
とでも言いたいのでしょうか?
こんなにも暑いのに?
「早くしろ」
差し出された彼の手が来い来いと動く。
…はい、只今。
あたしが手を伸ばす前にグイッと掴まれ、一ノ瀬君は歩き出した。
「ねぇ?どこに行くの?」
あたしはずんずんと突き進む彼の後ろ姿に問いかけてみた。
「こっち」
一ノ瀬君は振り返る事もなく答えた。
「……。」
あぁ、そうですか。
もういいですよ。

