「真琴っ!!」
紗都とふざけていると後ろから声をかけられた。
「一ノ瀬君…」
栗色の髪を揺らしながら近づいてきた。
こうやってまともに顔を合わせて話すのは久しぶり。
隣の席だって言っても授業中以外は殆ど岡崎さん達に取り囲まれたりしているから。
あっ。
今ならこの間の体育の時のお礼言えるかも…
何て言おう…
普通に“この前はありがとう”でいいかな?
「真琴弁当なんだろ?」
「えっ?」
弁当かって?
お弁当だけど…お弁当なら絶対あげないんだから!!
無意識にお弁当をギュッと胸に抱く。
「相沢、悪いけどコイツ借りるな?」
あたしの頭にポンッと手を乗せると紗都に向かって言った。
はぁ?
借りるって何よ?
またどこかに連れて行く気?

