今日は始業式だけだから学校は午前中に終わった。



帰りのHRが終わるといつもはみんなサッサと帰るのに、今日の放課後の教室は人でいっぱい。


それも女子ばっかり。



もちろんお目当てはあたしの隣の席の奴。



他のクラスの子達までうちのクラスを覗きにやって来てキャッキャと騒いじゃってる。




「ねぇ、一ノ瀬君て彼女いるのぉ?」


「一ノ瀬君の瞳、スゴイ綺麗!カラコンしてるの?」



すごい質問責め。

答える暇もないくらいに一ノ瀬君を囲む女子達が口を開く。



どんな顔をしてるのか見てやろうにもグルッと囲まれてるから全く見えない。



「一ノ瀬君、あたしと一緒に帰ろう?学校案内もしながら♪」


「え~!!あたしと帰ろうよ~何か食べて帰ろうよ!!」


「あたしとだよ~!!」



あ―ぁ。

何か女の子達の凄い殺気を感じてきた。



帰ろ…



あたしは机に掛けてある鞄を手に取った。