放課後、ザーッと雨が降りだした空を昇降口で見上げていた。 夏の終わりを告げている様に冷たい雨。 「はぁ…」 置き傘がなかったあたしは濡れて帰る事を覚悟して一歩踏み出した。 その時、あたしの頭の上に傘が見えて足を止めた。 振り返らなくても誰かなんてすぐわかる。 雨の匂いの中、大好きな香りに包まれたから。 「真琴に話したい事がある」 一ノ瀬君は落ち着いた声で言った。