「いい、大丈夫。
 でもありがとう。
 山田の気持ち、ほんと、嬉しかった。
 ありがと」

 両手でゴシゴシ涙を拭いながら答えた。


 逃げたらいけない、そう思った。
 山田の優しさが、私に勇気をくれた。


 涙を拭き終え、背筋を伸ばして鼻を1つすする。
 そうして山田に向き直り、全力で笑ってみた。


 最後に山田は、

「実は俺、去年田所とクラス一緒で、結構仲良いんだ」

 と教えてくれた。

「中学ん時もサッカー部で一緒だったし」

 とも。


「何だよ、今更」

 と言うと、「なんとなく」と照れ臭そうに笑う。


 私は山田に救われた。
 いつも『山田のくせに』とか思ったりして、ごめんね。

 ありがとね、山田。