わたしとあなたのありのまま

「なんだ、山田もわかんないんだ。
 言って損した、
 あームカつく」

「そんな言い方ねぇだろ?
 ヒトが真面目に心配してやってんのによぉ」

「そうだね、ゴメン」

「やっぱ今日のお前、変だ」

 困ったように苦笑する。
 どうやら山田は、素直な私が苦手のようだ。


「けどさ、田所はお前に何かを期待してんじゃないかな。
 でなきゃ、『つまんねぇ』なんて言わねぇだろ!? 普通……」

 単純な私は、脳内にパッと花が咲いた。
 しかも真っ赤な薔薇が。


 幸せビームを全身から発してしまっていたのだろう、山田が不快そうに顔をしかめ、

「いや、お前に何を期待してんのかはわかんねぇけど。

 いやいや、違うって、違う!
 『期待する』イコール『好き』では断じてないから!」

 私は何も言っていないのに、山田は否定的な言葉ばかりを、しつこいほどに並べ立てた。