わたしとあなたのありのまま



 両手で田所の胸を押して距離をとり、

「なんか泣いてスッキリしたら、
 今度は無性に腹立って来た。
 帰る!」

 一方的に言い放ち、クルリと半回転して、さっさと一人、ボックスを抜け出した。


「待てって、ほのか」

 背後から田所が呼び止める。
 けれども私は振り返らない。

 本気だから。
 もう、本当に帰るから。


 ガシと腕を掴まれ、凄い力で引っ張られた。
 強制的にその場に引き留められたけれど、私は視線を逸らしたまま俯いた。

 田所の顔をまともに見られない。


「どうしたの?」

 みぃたんがすかさず駆け寄って来た。
 一体、どこに潜んでいたのか。