泣き濡れてぐしゃしゃであろう顔で見上げれば、田所の不安そうな顔。 耐性が出来ているわけではなかった。 田所も、私のことを想ってくれている? 無意識に私は左手を伸ばして、田所の頬にそっと触れた。 「なんだよ?」 また不機嫌顔に戻って、田所は問う。 「前にもこんな風に触って、 『さわんな』 って、怒られたなって思って」 理由にならない理由。 私はバカなんじゃないか? 田所は意味がわからない、とでも言いたげな困った顔をした。 「怒らないの?」 田所の頬に触れたまま、聞いてみた。