「放して」 振り返るように見上げ、もう一度言ってみる。 「嫌だね。 放したら逃げるだろ?」 田所はそう言って冷ややかに見下ろした。 みぃたんの視線が刺さるのです。 痛いのです。 「逃げないから放して」 言った途端、田所はクイと両口角を上げて不敵な笑みを見せ、私を開放した。 結局、私はどうやっても逆らえないのだ。 田所に……