駄目だ、これじゃあいつまで経っても埒があかない。
「ボタン、掛け違ってる」
とりあえず、この邪魔くさい両腕を退けてもらおうと指摘してみた。
けれども田所は、一瞬目を伏せそれを確認すると、すぐ私に視線を戻し、
「なおして」
と言う。
相変わらず田所の両腕に囲われたまま、仕方なくボタンを外し、掛けなおそうとしていると、田所が私の横髪をかき上げながら、自分の顔を露になった私の耳元に寄せた。
耳に生暖かい息がかかり、ゾクリとする。
気持ち悪い。
さらに田所は、パクリと私の耳たぶに食らいついた。
歯は当たっていないので痛くはなかったけど、酷く不快だった。



