わたしとあなたのありのまま



 交差しているのは、左腕同士。

 私は後ろ歩きを余儀なくされ、振り返るように田所を見上げて、「放してよ」と訴えてみるも、田所は聞く耳持たず、私の方を見てさえくれない。


 相当怒っている?
 田所は、ヤキモチを焼いているのかな。


 アッという間に店の外へ連れ出された。
 絡めていた腕は解き、今度は私の手を引いて、3段ほどの階段を下りた。

 建物に沿って進み、角を回りこむと田所は、ようやく立ち止まって私を解放した。


 田所と壁の間に挟まれた。

 それだけでも、相当な圧迫感だというのに、私の顔の横に両腕まで突き立てられ、益々身動きが取れなくなって、息苦しさすら感じた。

 どうしたら良いかわからなくて、不安げに見上げれば、田所は虚ろな瞳で私を見下ろしている。


 いつもと違う田所の様子に、少しだけ『怖い』と思った。