けれど、その直後、
「今戻るって」
私以外の誰かに向かって、てるやくんが言った。
てるやくんの視線を辿ると、田所が立っていた。
さすがに上半身裸ではなかったけれど、シャツは適当に羽織ったかのように、だらしなく肌蹴ている。
そして、ものすごく不機嫌な顔。
田所は一言も口を利かぬまま、大股早歩きで近づいて来た。
そうして、私のすぐ横を通り過ぎるかと思いきや、私の腕を、自分の腕で絡め取って、
「ほのかは戻らない」
という呟きをてるやくんに残し、そのままグイグイと私を引っ張りながら、店の出口へ向かった。



