いきなり両頬を、ムギュウと片手で潰された。
「このお口は『イヤだ』しか言えねぇのかよ?」
冷ややかに目を細めた顔を近づけ田所が言った。
「言えるし。
あいうえお、かきくけこー」
頬に口元を圧迫されて、すごく喋りにい。
ほんの少しの間、体勢はそのままに、黙ってジッと私を見詰めた後、田所は言った。
「お前……
すっげ、ブサイク」
そして、ブッとふきだして、声を出して笑いながら、ようやく私の頬を開放した。
「8時だろ? バイト終わるの」
ムッとしている私に、田所が笑顔のまま聞く。
「うん」
しぶしぶ答えた。
私のバイト終了時間を把握しているとは……



