「ちょっ、何だよ?」
驚いた田所が、反射的に上体を少し反らした。
そんな田所の態度に、私もたちまち恥ずかしくなって、火照った顔を下へと向けた。
「ゴメン、なんか甘酸っぱい匂いがしたから」
俯いたままボソボソと謝った。
「それ、俺の醸し出すフェロモンの仕業だ。
俺のフェロモンは、甘酸っぱい初恋の香り――」
「でも違った。田所はやんちゃ坊主の匂いだった」
田所のおふざけトークにわざとかぶせるように言ってやった。
でもきっと、田所は私をフォローしてくれたのだろうけれど。
「何それ、臭そうだし」
田所はそう言って笑った。
と、
「俺かな」
田所のお友達が発したと同時に、彼の顔が私の目の前に来て、ギョッとして思わず身を引いた。



