俯いて、涙を必死で拭っていたら、

「調子こいてんじゃねぇよ。
 お前ごときが俺の役に立とうなんて、百万光年早いんだよ」

 言って、私の耳元の髪を撫でながら、そのままうなじへと右手を持っていく。

「お前なんか……」

 左手も私の腰へ回し、田所はそっと自分の胸に私を引き寄せて、


「傍にいるだけで充分だ」


 ギュッと抱き締めてくれた。


 さっきまで私が抱えていた両足の山が、パタリと倒れた。