わたしとあなたのありのまま

間近で見る田所は、見上げるほどに背が高い。そして、超不機嫌、恐いです。


さらには、その左右にズラリと並んだ男、男、男……。背の高い男子たちに取り囲まれ、軽くめまいすらした。



大して入り口塞いでいたわけでもないのに『邪魔』だと言われ、仕方なく身を横へずらした。


「ども」

田所はこちらなんか見向きもせず正面を向いたまま、全く感謝のこもっていない体裁程度の礼を口にしながら私のすぐ横を通り過ぎた。



「待って!」

咄嗟に呼び止めた。田所と愉快な仲間たち全員が、一斉に振り返る。


ようやく私が田所の視界に入った。必然的に、田所御一行様全員の視界にも入ってしまった。



私は田所だけを見詰め、

「私の携帯、返して……ください」

これ以上逆鱗に触れないよう、丁寧にお願いしてみた。