わたしとあなたのありのまま



「田所さーん、宅急便でーす!
 ハンコお願いしまーす」

 バレバレの嘘を、大声で叫んだ。
 それでも田所は、無視を決め込んでいる。


 もしかして本当にいないのかな、と少し不安になり、そして先ほどの迷演技が無性に恥ずかしく思えた。

 それでも私は、ドアを殴り続けた。


「田所さーん、集金でーす。
 家賃そろそろ払ってもらえませんか?」

「NH●です、受信料が未納ですよ?」

「お兄ちゃん、消火器買わない?
 安くしとくよ」

 などなど、思いつく限りの嘘で誘い出す作戦。


 だがしかし、
 プロジェクトAは、失敗に終わった。