私は田所の背後にしゃがむと、

「ゴメン、田所」

 田所の背中に話しかけた。


「何がだよ!?」

 不機嫌な声が返ってくる。


「全部だよ。

 そして、ありがとう。
 『そのままでいい』って言ってくれて。
 すごく嬉しかった。

 今の私が、きっと一番欲しかった言葉だと思う。

 ありがとう」



 田所はゆっくりと顔を上げた。

 けれども振り向かずに、

「ん」

 と、ぶっきら棒な返事をくれた。