わたしとあなたのありのまま

そんな私を、綾子が不思議そうに見て「なんかあった?」と問う。


「うん、まぁ……。とりあえず、帰ろ」

言って私も、ベランダを後にした。




「携帯取られた? ちょっと意味わかんないんだけど」

並んで歩く綾子が、私の話に首を傾げる。仕方がないので、その一部始終を長々と説明した。



「彼女がエリカ先輩っつったら――そいつ、『田所悠斗(タドコロ ユウト)』じゃないかな。背高くて、黒髪の、性格悪そうなやつでしょ?」


「性格悪そうかどうかはちょっと……。でも多分、それだ」

なんとなく不本意だったが同意した。