「いいの? 追わなくて」
トイレに残された私は、同じく残された田所に聞いた。
「いい。
エリカ、絶対別れないっつってたろ?」
冗談ぽく言いながら、また泣きそうな顔で、田所は笑った。
「ああ、そっちにとる? とっちゃう?」
私も、冗談として受け止める。
「一応さ、偽善者ぶっとくね。
『あんた、最低だね』」
今の田所は、そういう言葉を求めているような気がしたから。
「だな。
何これ? 俺なにやってんの?
クソだな、俺。
明日から『田所うんこ』って呼んで」
「長いし。めんどくさい。
『うんころ』って呼ぶわ」
無理してふざける田所が痛々しい。
でも、一緒になってふざけてあげることしか、私にはできなかった。
他になにも……



