思い出は消えない

(止まって!止まってよ!)

私は萩夜の手を

今まで以上にギュッと握り

痙攣が止まることを祈った。

でも、萩夜の痙攣は止まらず

また血を吐き出した。

「先生!治療室に運びましょう!」

看護婦さんと先生は

萩夜をストレッチャーに乗せて

治療室に運んでいった。

私は治療室の前で

萩夜を待ち続けた。

(…まだ……。まだ行かないで…。お願いだから。)