雅弥と同じく大きな声で叫びながら走ってくるのは、綾菜。

これまた同じく幼なじみ。


「どうしたの?」


「颯人さん帰ってくるって本当っ?」


「うん」


「やったぁ!すっごい楽しみ!」


綾も颯兄が大好き。
まあ、僕には敵わないけど。



「あっ!!そういえば雅弥っ、凪さんが探してたよ?」


「まじで!?どこ!?」


「あっち…」


綾が指を指した方向……とは反対の方向へ走り出そうとする雅弥。

綾は雅弥をむんずと掴むと凪さんのいる方向へ放り投げた。


ドスンッと無様な音を立てて雅弥は尻餅をつく。

「いってー…」


「行かないとダメでしょう」


「いや、だってさ…」

「行きなさい」


「はぃ……」



雅弥…御愁傷様……