【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐






そんなあたしの考えを見透かしたのか、暁くんは小さく笑った。





「だから気にしなくていいって。俺が夕食付き合ってもらってるんだから。ラッキーだなぁ、程度に思っときなよ。」






で、でも…。




やっぱり何から何までってのは悪いよ…。





そんな時、暁くんはいたずらっ子みたいにニヤリと口角をあげた。





「じゃあ、柚が決めないなら俺がテキトーに一番高いの頼んじゃうよ。」





それはダメぇっ!




ホントにウェイターさんにそれを頼もうとしてたから、あたしは慌てて平均的な料金のパスタを注文した。





暁くんも、あたしが気を遣ってないと判断して満足気に微笑んだ。





…はぁ~。


びっ、くりしたぁ…。





「柚はどうしてそんなに遠慮するの?」





そんな中暁くんは納得いかない、といった表情を浮かべていた。





どうしてって…。



そりゃするよ!





そんな意味を込めて暁くんを見上げた。






「俺にだって柚一人くらい、ご馳走できるくらいの甲斐性はあるんだけど。」





そう言って、暁くんは苦笑いを浮かべた。